不動産コラム 2023.5.30
空き家の固定資産税6倍はいつから?詳しく解説!
目次
空き家に課される税金のなかでも、多くの人に関わるのが「固定資産税」です。誰も住んでいないからと言う理由で免税されることはなく、空き家にも税金はかかります。特に近年は、法改正によって空き家にかかる固定資産税が6倍になるおそれが出てきました。
当記事では、空き家にかかる固定資産税の事情について分かりやすく解説しています。空き家の固定資産税が6倍になる理由や時期、空き家にかかる固定資産税で損しないための方法についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 「空き家」とは、一般的に人の住んでいない家のことを指す。空き家を所有し続けると、毎年固定資産税が課せられる。不動産に課される固定資産税額は、固定資産税の基準となる評価額の1.4%で計算される。
- 不動産に課される固定資産税には、特例措置があり、税負担が軽減されている。しかし、「特定空き家等」もしくは、「管理不全空き家」に該当する場合は、固定資産税の優遇措置を受けられない可能性がある。
- 2023年3月より、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定されたことにより、空き家の固定資産税が、3~6倍に上がる可能性がある。
- 空き家の固定資産税を払わないと、「滞納処分」と呼ばれる処分が実行される。滞納処分では、預貯金・給与・不動産などの財産が強制的に差し押さえられる。
- 空き家にかかる固定資産税で損しないための方法は、「空き家をリフォームして、賃貸で利益を得る」「空き家をリフォームして、自分で住む」「更地にした土地を有効活用する」「相続して特別控除を活用する」「空き家ごと売却する」の5つ。
空き家にかかる固定資産税
「空き家」とは、一般的に人の住んでいない家のことを指します。総務省が実施した調査によると、空き家の数は平成30年時点で、全国で848万9千戸となっています。
空き家を所有し続けると、毎年固定資産税が課せられます。
固定資産税とは
「固定資産税」とは、家や土地をはじめとする固定資産の所有者に課税される税金のことです。法人・個人を問わず、毎年1月1日時点で固定資産を所有している者に対して課せられます。
なお、不動産に課される固定資産税額は、固定資産税の基準となる評価額の1.4%で計算されます。例えば、土地の固定資産評価額が2,000万円の場合の固定資産税は、以下のようになります。
(例)
2,000万円×1.4%=280,000円
固定資産税の特例措置
不動産に課される固定資産税には、特例措置があり、税負担が軽減されています。
具体的には、一般住宅用地であれば課税標準額を、1/3に減額しています。さらに、200㎡までの部分(小規模住宅用地)に対しては、課税標準を1/6に減額することとしています。
区分 | 固定資産税の算出方法 | 都市計画税の算出方法 | |
一般住宅用地 | 小規模住宅用地以外の住宅用地 | 課税標準額を1/3に減額 | 課税標準額を2/3に減額 |
小規模住宅用地 | 住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分 | 課税標準額を1/6に減額 | 課税標準額を1/3に減額 |
固定資産税の優遇措置を受けられない空き家
前章では、固定資産税の特例措置について解説しました。しかし、空き家のうち、「特定空家等」もしくは「管理不全空き家」に指定されている場合は、この特例が適用されないおそれがあります。以下では、固定資産税の優遇措置を受けられない空き家について詳しく紹介します。
特定空き家等の条件
「特定空き家等」とは、国土交通省が示している基本指針で、以下の4項目のいずれかに該当する空き家のことです。
⑴倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
⑵著しく衛生上有害となるおそれのある状態
⑶適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
⑷その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空き家など
特定空き家とみなされると、行政が空き家に立ち入り、調査や指導、勧告、撤去命令が行えるようになります。
管理不全空き家の条件
2023年3月より、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
この法改正では、「特定空き家」になる可能性がある空き家を、「管理不全空き家」と規定し、住宅用地特例の対象外とします。そのため、これまでは「特定空き家」に指定された場合のみ固定資産税が高くなっていましたが、その前段階の「管理不全空き家」でも、税負担が上がる可能性があるのです。
ただし、管理不全空き家に該当する具体的な条件については、まだ決定していないのが現状です。
参照:「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案|国土交通省」
空き家の固定資産税が6倍に上がる時期
今回の法改正によって、空き家の固定資産税が、3~6倍に上がる可能性があります。以下では、空き家の固定資産税が6倍に上がる時期について説明します。
特定空き家に指定された翌年
空き家の固定資産税が6倍に上がるのは、特定空き家に指定された翌年からです。ただし、特定空き家に指定されても、特例対象からすぐに外れるわけではありません。特例対象から外れるまでには、一定の猶予期間が設けられています。
その間に空き家の状況が改善できれば、指定が解除されて増税を回避できます。
都市計画税も3倍
「都市計画税」とは、固定資産税と同様に、固定資産を所有している人に課税される税金のことです。課税主体は、その固定資産のある市町村で、毎年1月1日時点の所有者に納税義務が発生します。都市計画税の課税標準は、原則として、固定資産税評価額の金額に税率0.3%を乗じて算出していました。しかし、今回の改正によって、都市計画税も3倍になる可能性があると言われています。
なお、固定資産税は、すべての土地と建物が対象である一方、都市計画税は都市計画法による市街化区域内に所在する土地と建物のみが対象です。また、市町村によっては課税されない場合もあります。
空き家の固定資産税を払わないとどうなる?
ここまで、空き家にかかる固定資産税の概要について見てきました。では、空き家の固定資産税を払わないと、どのようなリスクがあるのでしょうか。以下で、詳しく見ていきましょう。
延滞金の発生
定められた期間内に固定資産税を支払えないと、延滞金を支払う義務が課せられます。延納金の金額は、遅れた期間によって変動します。
原則、納税期限の翌日から1ヶ月が経過するまでは、年率7.3%の延滞金を支払う義務が課せられます。さらに、納税期限から1ヶ月以上が経過した場合は、年率14.5%の延滞金を支払うことになります。
資産の差押え
固定資産税の支払いを放置し続けると、最終的に「滞納処分」と呼ばれる処分が実行される可能性があります。 滞納処分とは、預貯金や給与、不動産などの財産を強制的に差し押さえることを言います。
固定資産税をはじめとする税金を滞納した場合は、民間の金融機関などから借金をした場合とは異なり、裁判をせずに差し押さえることが可能です。しかし、固定資産税を滞納した後すぐに財産が差し押さえられるわけではなく、督促状や催告書の発行、財産調査、身辺調査など順を追って行われていきます。
相続した空き家の税金は誰が払うべき?
固定資産税の納税義務は、昨年度の1月1日時点で空き家を所有している人に課せられます。
つまり、令和4年の1月1日時点での空き家の所有者には、令和4年度の固定資産税の納税義務が発生します。 ただし、ここで言う所有者とは、登記謄本上の所有者のことを指します。そのため、売却後の持ち主とは限らないことを覚えておきましょう。
相続人が支払いする
相続した空き家の固定資産税は、通常、相続人が納税義務を負います。この際、相続人が複数いる場合は、誰がいくら固定資産税を支払うのか、事前に相談しておくことが重要です。
万が一、固定資産税の支払いを滞納してしまうと滞納金が発生するだけではなく、最悪の場合は財産を差し押さえられてしまうリスクもあります。
固定資産税で損しないための方法
ここからは、空き家にかかる固定資産税で損をしないための方法について紹介します。今後、空き家を活用する予定がない場合は、固定資産税を無駄に支払い続けてしまうことになります。そのため、以下のような方法で税負担を軽減したり、無くしたりして、解決することをおすすめします。
空き家をリフォームして、賃貸で利益を得る
はじめに挙げられるのは、「空き家をリフォームして、賃貸で利益を得る」方法です。賃貸物件として活用するメリットには、家賃収入を固定資産税の支払いに充当できることが挙げられます。特に、低所得者専用の賃貸として貸し出せば、家賃低廉化補助制度という補助金制度を受けられて、国や自治体から月額最大4万円を最長10年間受け取れます。
ただし、賃貸物件での貸し出しは、物件の管理や入居者のトラブル対応といった手間が発生するため、片手間での運用は現実的ではありません。
なるべく労力をかけずに、収益を得たい場合は、店舗やコインランドリー、時間貸しのレンタルスペースなどで活用するのがおすすめです。このような活用では、稼働率が高ければ高収益を得ることも期待できます。
参照:「住宅セーフティネット制度|国土交通省」
空き家をリフォームして、自分で住む
空き家をリフォームした後に、自分で住む方法もあります。空き家リフォームは、新築に比べて費用が安く済むのがメリットです。
また、空き家のリフォームには、地方自治体によって補助金が用意されています。これらの制度を活用することで、お得に理想の住居を手に入れられます。以下では、愛知県名古屋市の空き家リフォームの補助金制度をピックアップして紹介します。
制度 | 補助限度額 | |
名古屋市 | 名古屋市空き家活用支援事業費補助金 | 最大100万円(改修工事費の3分の2) |
更地にした土地を有効活用する
3つ目の活用方法は、空き家を取壊して更地にした土地を有効活用するというものです。更地は、駐車場や新築住宅など、思い通りに利用できます。そのため、空き家を解体して更地にすることで、買い手がつきやすくなるでしょう。
また更地は、建物付きの土地よりも高価格で売買できるケースも少なくありません。なぜなら、買い手側で建物を取り壊す必要がなく、売買後すぐに事業に着手できるためです。ただし、更地にした場合、そのまま放置してしまうと固定資産税の負担が重くなることがデメリットです。
相続して特別控除を活用する
相続した空き家を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税を支払わなければなりません。しかし、一定の条件を満たしている場合には、「相続空き家の3000万円特別控除」が適用され、税負担を軽減できます。
「相続空き家の3000万円特別控除」とは、2016年度の税制改正によって設けられた特例で正式名称を、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」と言います。
この特例が適用されれば、相続した空き家の売却によって出た売却益から、最大3000万円が控除されるため」、大きな節税効果を得られます。相続した空き家に関する適用要件は、以下の通りです。
⑴昭和56年5月31日以前に建築されたこと
⑵区分所有建物登記がされている建物でないこと
⑶相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
⑷売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと
⑸相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること、もしくは、相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること
⑹相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
⑺売却代金が1億円以下であること
参照:「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁」
空き家ごと売却する
すぐにでも空き家を手放したい場合は、空き家ごと売却するのがおすすめです。空き家を売却するメリットは、なんと言っても、固定資産税の支払い自体を解消できる点にあります。
また、高値で売れた場合には、売却による利益も得られます。さらに、売却益に対して課せられる税金は、相続から3年以内の売却であれば、上記で紹介した空き家特例の特別控除により節税することが可能です。
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今回は、空き家にかかる固定資産税の事情についてお伝えしました。
空き家を放置して、「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されると、課税される固定資産税が、最大6倍になるおそれがあります。これを回避する方法には、賃貸・リフォーム・売却などの方法がありますが、初心者の方が自分の最適な方法を見つけるのは容易ではありません。
空き家をはじめとする不動産売却にお悩みの方は、愛知県名古屋市に本社を構える株式会社リデアにご相談ください!
ご相談は無料ですので、少しでも気になった方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
私は株式会社リデアの宅地建物取引士、磯部と申します。
生まれ育った港区、中川区や馴染みの深い弥富、蟹江、あまエリアで不動産サービスをご提供することを通じて、ご縁をいただいたお客様に豊かな人生をおくっていただきたい。
その思いで株式会社リデアを創業し、これまで年間平均143件の不動産の取引に関わらせていただきました。
不動産業に関わるということは言い換えればお客様の大切な未来を預からせていただくということだと考えています。
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