不動産コラム 2023.5.16
【要確認】不動産売却後の確定申告の必要書類の一覧と入手場所
目次
不動産を売却した後は、原則として確定申告が必要です。しかし、会社員の方やこれまで確定申告をしたことがない方は、「どのような書類を用意すれば良いか分からない」という事態に陥ってしまいがちです。
当記事では、そのような悩みを解消するべく、不動産売却後の確定申告に必要な書類やそれぞれの入手場所について網羅的に解説しています。この記事を読んで、必要書類の漏れや抜けなく、スムーズに確定申告を済ませましょう。
この記事のポイント
- 不動産売却後の確定申告に必要な書類は、「確定申告書B様式 第一表・第二表」「確定申告書第三表(分離課税用)」「譲渡所得の内訳書」「不動産購入時の売買契約書のコピー」「不動産の取得にかかった費用の領収書のコピー」「不動産売却時の売買契約書のコピー」「不動産の譲渡費用がわかる領収書のコピー」「登記事項証明書」「本人確認書類」「源泉徴収票」の10つ
- 不動産の売却で譲渡所得が発生した場合は、「マイホームの3,000万円特別控除」「相続空き家の3,000万円特別控除」「10年超所有の軽減税率」「特定のマイホームを買い換えたときの特例」「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」「取得費加算の特例」などの特例により、税額を軽減できる可能性がある
- 不動産売却時の確定申告の流れは、「譲渡所得の内訳書を記入する」「確定申告前に必要書類を集める」「確定申告書を記入する」「税務署・郵送・e-Taxで申告する」「納税または還付を受ける」の5ステップ
- 不動産売却後の確定申告で重要なポイントは、余裕を持った事前の準備にある
不動産売却後の確定申告に必要な書類 一覧
まずは、不動産売却後の確定申告に必要な書類を一覧にまとめました。手元にあるかを、ひとつひとつチェックしながら確認してみましょう。
・不動産売却後の確定申告に必要な書類 一覧
・確定申告書B様式 第一表・第二表
・確定申告書第三表(分離課税用)
・譲渡所得の内訳書
・不動産購入時の売買契約書のコピー
・不動産の取得にかかった費用の領収書のコピー
・不動産売却時の売買契約書のコピー
・不動産の譲渡費用がわかる領収書のコピー
・登記事項証明書
・本人確認書類
・源泉徴収票
確定申告書B様式 第一表・第二表
「確定申告書B様式 第一表・第二表」とは、年間の所得と課税額を申告するための用紙のことです。確定申告を行うすべての人が使用します。第一表と第二表がセットになっているため、必要な欄に必要事項を記入して使いましょう。
確定申告書第三表(分離課税用)
「確定申告書第三表(分離課税用)」とは、不動産所得を記入するための用紙のことです。確定申告書第三表(分離課税用)は、税務署や市役所などで入手できます。不動産譲渡で得た所得は、他の所得とは別に課税することが義務付けられているため、この書類が必要になるのです。
譲渡所得の内訳書
「譲渡所得の内訳書」とは、不動産売却後に国税局から郵送される書類です。土地や建物の売却による、譲渡所得金額の詳細を記入します。なお、譲渡所得の内訳書は、国税庁のホームページからもダウンロード可能です。
不動産購入時の売買契約書のコピー
「不動産購入時の売買契約書のコピー」とは、売買契約を仲介した不動産会社が発行する書類のことです。
確定申告をする際は、課税の増額を抑えるため、売買契約書のコピーが必要になります。紛失した場合は、仲介業者や売主から、改めてコピーをもらってください。
不動産の取得にかかった費用の領収書のコピー
確定申告の際には、不動産の取得にかかった費用が確認できる領収書のコピーも必要です。具体的には、「不動産購入金額」「仲介手数料」「登記費用」「印紙税」「不動産取得税」「測量費用」などを用意します。
これらの領収書のコピーを用意できない場合は、課税額が増えるおそれがあるため、紛失しないように注意してください。
不動産売却時の売買契約書のコピー
確定申告では、売却した不動産の購入費用と売却費用を確認するため、それぞれの売買契約書の写しを添付します。なお、不動産売買契約書のコピーは、売主側のみ控えとして保管することが認められています。 買主側は、原本を保管する必要があることを念頭に置いておきましょう。
不動産の譲渡費用がわかる領収書のコピー
不動産の譲渡費用が分かる領収書のコピーも必須です。領収書の種類には、「仲介手数料」「印紙税」「登録免許税」「解体費用」などが挙げられます。
登記事項証明書
「登記事項証明書」とは、不動産の所有者や担保などの登記記録が記された書類のことです。登記事項証明書は、法務局で入手できます。
本人確認書類
確定申告書を行う際は、マイナンバーの記載と本人確認書類の提出も必要です。そのため、免許証や保険証、住民票などのコピーを用意しましょう。ただし、e-Taxによる申告では、本人確認書類の提示やコピーは必要ありません。
源泉徴収票
2019年までは、自営業以外の給与所得者は、確定申告の際に源泉徴収票の原本を添付する必要がありました。しかし、法改正により2020年以降からは、源泉徴収票の添付が不要となっています。ただし、申告書に記入する金額をチェックするため、源泉徴収票は手元に置いておきましょう。
不動産売却後の確定申告でどのケースでも用意すべき必要書類
不動産売却後の確定申告で用意すべき必要書類は、どこで入手するのでしょうか。以下では、「税務署で入手する書類」「法務局で入手する書類」「自分で用意する書類」を、それぞれ一覧形式でまとめました。
税務署で入手できる書類 一覧
以下の3つの書類は、税務署で入手できます。また、国税庁のホームページからダウンロードして、手書きで作成することも可能です。
- 確定申告書B様式 第一表・第二表
- 確定申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書
法務局で入手できる書類一覧
以下の2つの書類は、法務局で入手します。売却の際に所有権移転登記がなされるため、登記手続きが終わった後、法務局に足を運んで取得しましょう。
- 登記事項証明書
- 譲渡した土地の全部事項証明書
自分で用意するもの一覧
自分で用意しなければならない書類は、以下の6つです。
- 不動産購入時の売買契約書のコピー
- 不動産売却時の売買契約書のコピー
- 不動産の取得にかかった費用の領収書のコピー
- 不動産の譲渡費用がわかる領収書のコピー
- 本人確認書類
- 源泉徴収票
不動産売却後の確定申告で控除を受ける方法
不動産の売却により譲渡所得が発生した場合は、以下のような特例により、税負担を軽減できる可能性があります。
- マイホームの3,000万円特別控除
- 相続空き家の3,000万円特別控除
- 10年超所有の軽減税率
- 特定のマイホームを買い換えたときの特例
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 取得費加算の特例
ここでは、それぞれの制度の概要について説明します。
マイホームを売ったときの特例(マイホームの3,000万円特別控除)
「マイホームの3,000万円特別控除」とは、マイホームを譲渡する際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例制度です。確定申告書に譲渡所得の内訳書を合わせて添付し、申告することで適用されます。
なお、この特例を利用するためには、以下の適用要件を満たす必要があります。
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売った年の前年および前々年にこの特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
- 売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと
- 売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
- 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(相続空き家の3,000万
円特別控除)
「相続空き家の3,000万円特別控除」とは、相続した空き家を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円が控除できる特例制度です。
ただし、この特例を使うためには以下の全ての要件を満たしている必要があります。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
- 売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと
- 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること、もしくは、相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
また、本特例には適用期限が設けられており、2028年1月1日以降に売却する場合は適用の対象外となります。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例(10年超所有の軽減税率)
「10年超所有の軽減税率」とは、自分の住んでいたマイホームを売却した際に、その不動産を10年以上所有していれば、長期譲渡所得の税額より低い税率で計算する軽減税率を受けられる特例です。
この特例は、「マイホームの3,000万円特別控除」や「相続空き家の3,000万円特別控除」と併用可能なため、組み合わせて利用することで非常に大きな節税効果が見込めます。
特定のマイホームを買い換えたときの特例
売却の前年から翌年までの3年間にマイホームの買い換えをした場合は、特例により譲渡所得税を繰り延べることが可能です。ただし、この特例の適用期限は、2023年12月31日までです。そのため、対象となる方は早めに準備をしてください。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは、5年を超えて保有する居住用財産を譲渡して譲渡損が発生した場合に、この譲渡損をその年の他の所得と合算して損益通算できる特例です。損益通算をしても赤字となった金額については、翌年以降の3年に繰り越して各年の所得から控除することが可能です。
相続財産を譲渡したときの取得費の特例(取得費加算の特例)
「取得費加算の特例」とは、相続で取得した不動産や株式などを売却したときの利益を計算する際に、納税した相続税の一部を譲渡不動産の取得費に加算して、譲渡収入から控除できる特例です。
不動産売却時の確定申告の流れ
ここまで、不動産売却後の確定申告に必要な書類やそれぞれの入手場所について見てきました。それでは、実際に確定申告をする際は、どのようなステップを踏めば良いのでしょうか。ここからは、不動産売却時の確定申告の流れについて紹介します。
譲渡所得の内訳書を記入しておく(事前準備)
まずは、「譲渡所得の内訳書」に、以下のような項目を記入します。
- 不動産の所在地
- 土地・建物の種類、面積
- 利用状況
- 売買契約日・引き渡し日
- 共有の場合は共有情報
- 買主の住所・氏名・職業
- 譲渡価格
- 代金の受領状況(※固定資産税負担分もお忘れなく)
- 売却した理由
なお、e-Taxでは質問に応じて入力を進めることで、譲渡所得の内訳書の作成にかかる時間を短縮できます。
確定申告前に必要書類を集めておく(事前準備)
続いて、確定申告に必要な書類を全て集めます。この際、特例の適用を受けるために必要な書類についても準備しておくことで、確定申告をスムーズに進められます。
確定申告書を記入する(申告時)
必要な書類が全て揃ったら、いよいよ確定申告書を記入します。地域によっては、確定申告期間中に、申告会場が設営されることがあります。申告会場では、スタッフの説明を受けながら申告用紙の記入を進められるため、初めての方でも安心です。
税務署・郵送・e-Taxで申告する(申告時)
確定申告の提出方法は、「e-Tax」「郵送」「窓口」の3つです。それぞれで、提出を受け付けている期間や時間帯は異なるため、ご自身の都合に合わせて最適な提出方法を選択してください。
e-Tax | 郵送 | 窓口 | |
受付期間 | 火~金曜日は24時間(休祝日の翌稼働日は8:30から、休祝日及び12月29日から1月3日の期間を除く)
月曜日・土・日・休祝日は、8:30~24:00(メンテナンス日を除く)ただし、確定申告期間中は24時間 |
原則として2月16日から3月15日まで | 原則として確定申告期間中の平日8:30~17:00 |
納税または還付を受ける(申告後)
申告後には、税務署からの指示に従って、納税もしくは還付を受けます。なお、現金で納付する場合の納税期限は、原則として3月15日となります。
不動産売却後の確定申告で重要なポイントは事前の準備
確定申告には、期日が設けられています。また、申告に必要な書類は多く、全てを用意するには時間がかかるものです。期限ギリギリになって慌てないためにも、スケジュールには余裕を持って書類の準備を始めることをおすすめします。
まとめ
今回は、不動産を売却した際の確定申告の方法についてまとめました。確定申告ができる期限は限られていて、ミスがあると延滞金や無申告加算税などのペナルティが発生する可能性があります。そのため、会社員で時間がない方や、確定申告に慣れていない場合には、不動産売却に知見の深いプロに相談するのもひとつの手です。
株式会社リデアでは、不動産に関するお悩みをワンストップで対応しながらお客様のお困りごとを解決し、大切な資産の売却をサポートします。
不動産売却や仲介に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。
この記事を書いた人
私は株式会社リデアの宅地建物取引士、磯部と申します。
生まれ育った港区、中川区や馴染みの深い弥富、蟹江、あまエリアで不動産サービスをご提供することを通じて、ご縁をいただいたお客様に豊かな人生をおくっていただきたい。
その思いで株式会社リデアを創業し、これまで年間平均143件の不動産の取引に関わらせていただきました。
不動産業に関わるということは言い換えればお客様の大切な未来を預からせていただくということだと考えています。
お客様に安心・信頼していただけるベストなご提案を通じて、未来の生活をより豊かにお過ごしいただくために誠心誠意サポートさせていただきます。
まずは、どのようなことでもお気軽にご相談ください。