不動産コラム 2022.5.24
不動産売却時にかかる税金を完全網羅!不動産屋がわかりやすく解説します!
目次
不動産売却で利益がでる場合、「譲渡所得税」とよばれる税金が発生します。
譲渡所得税は、きちんと申告し納税をしないと、不申告や脱税状態となり、税務署から督促されてしまうおそれがあるため注意が必要です。
本記事では、不動産売却時にかかる税金の種類や、税金の支払いタイミングについて徹底的に解説します。
不動産にかかる税金の種類
個人が不動産を売却したときにかかる税金にはさまざまなものが存在します。
まずは、なかでも代表的な
①譲渡所得税
②印紙税
③住民税
④登録免許税
⑤消費税
について、見ていきましょう。
①譲渡所得税【利益が出たら支払い】
譲渡所得税とは不動産売却の売却金額ではなく、売却によって得た利益に対してかかる税金です。
譲渡所得と譲渡課税所得の計算方法
譲渡所得は、売却代金から、売却にかかる経費と不動産の購入にかかった費用を差し引いて計算します。
【譲渡所得の計算方法】
譲渡所得=売却価格ー譲渡費ー取得費用
売却価格や譲渡費、取得費用などを合計し、住宅の売却額から差し引いた金額が「課税譲渡所得金額」です。
この課税譲渡所得金額に税率をかけることで、譲渡所得税が算出されます。
なお、かける税率は住宅を所有していた期間によって異なり、
長期の場合は15%、短期の場合は30%となります。
譲渡所得に関わる用語
譲渡所得を正しく理解するためには、譲渡所得に関わる用語についても理解を深めておくことが重要です。
ここでは、譲渡所得に関わる6つの用語について解説します。
長期・短期譲渡所得
長期・短期譲渡所得は、土地や建物の譲渡所得に課税する際に使われる税務上の概念です。
譲渡された土地建物の所有期間が5年以上の場合は「長期譲渡所得」、
5年以下の場合は「短期譲渡所得」として分類されます。
この際、所有期間は譲渡した年の1月1日現在で算定します。
また、共有持分の売却にかかる税金や諸費用は、不動産全体を売却したときと大きな違いはありません。
譲渡価格
譲渡価額は、土地や建物の売却代金です。
所得費
取得費は、土地・建物の購入代金や建築代金や、購入時に発生した税金、仲介手数料などの合計額です。
減価償却費
減価償却費は、不動産を取得した際に購入金額を一定年数に分け、
毎年の経費として計上するために用いられる計算方法です。
不動産を売却した場合は、物件の法定耐用年数を基準に
減価償却費として計上することが必要経費として認められています。
譲渡費用
譲渡費用は、譲渡するために直接支出した費用です。
特別控除
不動産を売却した場合に得られる譲渡所得は、
要件に応じて「特例として」特例控除を受けられる場合があります。
②印紙税
印紙税は、契約書や領収書などの文書に貼付する収入印紙代です。
③住民税【利益が出たら支払い】
譲渡所得税同様、購入した金額よりも高く不動産を売却できた場合には、所得税と住民税が発生します。
反対に、不動産を売却して収支がマイナスになった場合は、不動産売却による所得税・住民税は発生しません。
④登録免許税
登録免許税は、不動産の「登記」をするときに法務局で支払う税金です。
⑤消費税
不動産の売買は非課税対象となっているため、不動産を売却した場合に消費税はかかりません。
しかし、事業用の不動産の譲渡は、事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡となるため、消費税が課税されます。
譲渡所得税と住民税【分離課税】は確定申告が必要
不動産売却によって利益が発生した場合、
翌年の2月16日から3月15日(※2月16日、3月15日が土日祝日に該当する場合は翌平日)
までに確定申告を行います。
確定申告をせず、税金を納めずにいると延滞税が上乗せされるばかりでなく、
財産へ差押えを受けるリスクがありますので忘れないようにしましょう。
税金っていつ支払うの?税金ごとに解説!
ここまで、不動産売却にかかる税金の種類や確定申告の有無について紹介しました。
各種税金は納める時期が異なるため、事前にスケジュールを把握しておくことでスムーズに売却を進められるはずです。
下記で税金ごとの納付期限をまとめましたので、チェックしてみてください。
税金の種類 | 支払うタイミング |
印紙税 | 売買契約時 |
登録免許税 | 引渡時 |
所得税・特別復興所得税 | 原則として売却した翌年の2月16日~3月15日 |
住民税 | 売却した翌年度の6月以降 |
なお、マイホームを売却して損失が発生したために所得税の還付申告を行う場合は、
2月15日より前に申告することができます。
税金が軽減される特例とは?
譲渡所得にかかる所得税や住民税には、税負担を軽減できる特例がいくつか用意されています。
不動産を売却する前に特例の内容を把握して、自分の条件に当てはまるものがないかどうかを確認しておきましょう。
特定居住用財産の買替えの特例
特定居住用財産の買換えの特例とは、住居を買い換える際に、売却した住居について譲渡益が発生した場合に、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる特例です。
なお、この特例の適用期限は2023年12月31日までです。
3000万円特別控除
3,000万円特別控除とは、不動産を売却した際に出た譲渡所得に対し、
3,000万円までは課税対象から除外できるというものです。
居住用財産に当てはまっていれば、所有期間等の制限を受けることはなく、
譲渡所得税の特別控除のなかでも最もポピュラーな制度といえます。
空き家の特別控除
空き家の特別控除とは、空き家となった被相続人の住まいを相続した相続人が、
「耐震基準を満たした」または「取壊しをした後に家屋・敷地を譲渡した」場合に、
譲渡にかかる譲渡所得から3,000万円が控除される制度です。
損益通算と繰越控除
譲渡損失には通常、所得税や住民税の負担がありませんが、それだけでなく売却年のその他所得と相殺して所得税や住民税を減らすことができます。これを「損益通算」といいます。
さらに、売却年の所得よりも譲渡損失のほうが大きく、相殺し切れない場合は、
翌年以降の所得からも繰り越して差し引ける「繰越控除」を利用できる場合もあります。
所要期間が10年を超える場合の税率について
不動産の所有期間が10年を超える場合は、特例により譲渡所得税に軽減税率を適用することが可能です。
さらに、この「10年越え所有軽減税率の特例」は、3,000万円特別控除と併用できるため、
3,000万円特別控除を適用しても譲渡所得出ている場合、さらに節税効果が高まるといったメリットがあります。
離婚時に不動産を売却するときの税金
離婚時に財産分与のために不動産を売却するのはよくあることですが、
共通財産である家を売却した場合、どのような税金が発生するのか気になるところかと思います。
ここでは、離婚時に不動産を売却するときの税金について詳しく説明します。
夫婦間で譲渡するなら贈与税はかからない
離婚時に財産分与として行われた不動産の譲渡については、原則として贈与税は課税されません。
なぜなら、財産分与というものは、夫婦が婚姻期間中共有していた財産を分けて清算するもので、
贈与とは区別されているためです。
譲渡所得税がかかる場合【財産分与】
財産分与が土地や建物などの不動産で行われたときには、
分与した人に譲渡所得の課税がなされることになります。
この場合、分与した時の不動産の時価が譲渡所得の収入金額となります。
また、分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになります。
従って、将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、
財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになります。
海外の不動産を売却したときの税金
海外の不動産を売却したときの税金は、
「課税されるもの」と「課税されないもの」が国によって異なります。
税率についても、国によって大きく差があるため、
購入前にきちんと現地のルールを把握しておくことが重要です。
ふるさと納税は不動産売却時に使えます!
土地を売却して譲渡所得が発生した場合、ふるさと納税制度を利用することによって、
譲渡所得の発生にともなう税金について一定額の控除が受けられます。
特に不動産売却で多額の譲渡所得を得た場合は、ふるさと納税の活用によって
節税効果が得られる可能性が高くなるため、ぜひ活用しておきたいところです。
不動産売却時の税金シミュレーション
最後に、不動産売却時の税金計算についてのシミュレーション例を3つ紹介します。
ぜひ、不動産売却時の参考にしてください。
①2,000万円で購入した不動産を2,500万円で売却したケース
=2,500万円-2,000万円-250万円-3,000万円=-2,750万円
=0×39.63%=0円
※物件の所有期間7年、諸費用250万円、3,000万円の特別控除
②1,000万円で購入した家を1,500万円で売却したケース
=2,500万円-2,000万円-250万円×39.63%
=約99万円
※物件の所有期間4年、諸費用250万円
③購入額不明のマイホームを4,000万円で売却したケース
=4,000万円-200万円-150万円-3,000万円×20.315%
=約132万円
※物件の所有期間9年、諸費用150万円、3,000万円の特別控除
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この記事を書いた人
私は株式会社リデアの宅地建物取引士、磯部と申します。
生まれ育った港区、中川区や馴染みの深い弥富、蟹江、あまエリアで不動産サービスをご提供することを通じて、ご縁をいただいたお客様に豊かな人生をおくっていただきたい。
その思いで株式会社リデアを創業し、これまで年間平均143件の不動産の取引に関わらせていただきました。
不動産業に関わるということは言い換えればお客様の大切な未来を預からせていただくということだと考えています。
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