不動産コラム 2023.10.19
【土地売却の流れ】6つのステップで解説
目次
土地を売却したいものの、「まず何から始めたら良いのか分からない…」と悩む人は少なくありません。土地売却の流れをしっかりと把握しておくことで、初めての土地売却でも問題なくスムーズに進めることができます。
当記事では、土地売却の流れのステップごとに詳しく解説します。土地売却にかかる費用や必要な書類についても説明しているので、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 土地売却の大まかな流れは、「不動産会社に土地査定をお願いする」「不動産会社と媒介契約を結ぶ」「不動産会社が売却活動を行う」「買主が決まったら、売買契約を結ぶ」「決済・引き渡し」「確定申告・納税を行う」の6ステップ。
- 土地売却を不動産会社に依頼する場合は、媒介契約を締結することが法的に義務付けられている。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあり、売主は、どの媒介契約を結ぶかを自由に選択することができる。
- 土地を売却するには、「仲介手数料」「抵当権抹消費用」「測量費用」などの一般費用と、「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」「住民税」などの税金がかかる
- 「相続した土地」や「古家付きの土地」を売却する場合は、通常の土地売却の流れに、相続関連の手続きや解体工事の検討などのステップが加わる。
- 土地を売却して利益が出た場合は、翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告をする必要がある。
土地売却の流れ
土地売却の大まかな流れは、以下の6ステップです。
- 不動産会社に土地査定をお願いする
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 不動産会社が売却活動を行う
- 買主が決まったら、売買契約を結ぶ
- 決済・引き渡し
- 確定申告・納税を行う
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【STEP1】不動産会社に土地査定をお願いする
査定は、土地を適正な売却価格で売るための大事なステップです。土地査定で適正価格を把握し、信頼できる不動産会社を選ぶことが、土地売却の成功のカギを握ります。
土地査定は、複数の不動産会社に依頼して、納得いくまで検討してから、売却を依頼する会社を選定するようにしましょう。土地査定の依頼は、以下の流れで行います。
不動産会社に査定を依頼する
不動産査定には、インターネットから情報を入力すると数日程度で結果が出る「簡易査定」と、不動産会社の担当者が実際に現地を訪れて査定する「訪問査定」の2種類が存在します。
簡易査定は、エリアや面積、地価、過去の事例などから算出した簡易的な価格です。そのため、実際の土地の立地や形状を確認することにより、価格が変動します。
一方、訪問査定は売却する土地に担当者が出向き、物件の状態や隣地との境界などを細かく確認したうえで査定します。そのため、査定価格に正確性があり、実際の売却金額から大きくズレる心配がありません。
現地調査を行うことで、正確な査定金額が算出できるようになるので、必ず現地調査を依頼するようにしましょう。
現地調査の日程を決める
不動産会社に現地調査を依頼したら、訪問日程を調整します。遠方の場合は、不動産会社の担当者のみが現地に行くことも可能ですが、できるだけ売主も立ち合いができるように日程調整をします。
現地調査してもらう
ここまでのステップを踏んだら、いよいよ現地に不動産会社の担当者を呼び、実際に土地の現況を見て査定をしてもらいます。現地調査にかかる時間は、数十分〜1時間程度が目安です。
現地調査では、担当者から土地に関する質問をいくつか受けます。いずれも査定金額を正しく見積もるために必要な質問なので、正確な情報を伝えるようにしましょう。
査定結果の報告を聞く
現地調査の終了後、おおよそ1週間程度で不動産会社から査定結果の報告が届きます。査定結果の報告を受ける際は、必ずその結果になった理由を聞くようにしましょう。なぜなら、調査結果の妥当性や担当者の腕前などを判断することができ、仲介を依頼する不動産会社選びの参考になるためです。
最も信頼できる不動産会社を選定したら、次のステップに進みます。
また、不動産会社から提示された査定額が適正なのか判断するためには、売主自身がある程度土地の相場価格を知っておく必要があります。相場は、不動産会社の査定で知ることもできますが、自身で調べる方法もあります。土地の売却相場を調べる方法は、以下の通りです。
- 固定資産税評価額を参考にする
- 公示価格を調べる
- 相続税評価額を参考にする
- 時価を調べる
- 基準値標準価格を調べる
固定資産税評価額は、市区町村から送付される「固定資産税納税通知書」に添付されている「課税明細書」に記載されています。通知書が手元にない場合は、他の方法を試してみてください。
【STEP2】不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定結果に納得できる場合は、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約とは、土地売却を依頼する不動産会社との間で締結するものです。媒介契約が必要な理由は、不動産会社と売主間の関係を明確にし、仲介に関するトラブルを未然に防止するためです。仲介依頼を受けた不動産会社には、媒介契約の締結が法的に義務付けられています。
3種類の媒介契約の中から1つ選択する
媒介契約には、3つの種類があります。このなかから売主は、どの媒介契約を結ぶかを自由に選択することができます。
媒介契約 | 内容 |
一般媒介契約 | ・複数の不動産会社に仲介を依頼可能
・自分で買主を見つけても良い「自己発見取引」が認められている ・販促活動の報告義務はない |
専任媒介契約 | ・仲介を依頼できる不動産会社は、1社のみ
・自分で買主を見つけても良い「自己発見取引」が認められている ・販促活動の報告義務は、2週間に1回以上 |
専属専任媒介契約 | ・仲介を依頼できる不動産会社は、1社のみ
・自分で買主を見つけても良い「自己発見取引」が禁止されている ・販促活動の報告義務は、1週間に1回以上 |
細かい違いはいくつか存在しますが、3つの契約の最も大きな違いは、複数の不動産会社と契約できるかという点です。
具体的には、「一般媒介契約」は不動産会社に仲介を依頼できますが、「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」は、仲介を依頼できる不動産会社が1社のみに限られます。
また、「専属専任媒介契約」は、自分で見つけた買主と直接取引できる「自己発見取引」が禁止されています。そのため、不動産会社を1社に絞って買主を探してもらいたい場合は、「専属専任媒介契約」をおすすめします。
反対に、親戚などが土地を購入してくれる可能性がある場合には、自身で探した相手と売却取引が進められる「一般媒介契約」や「専任媒介契約」が適しています。
【STEP3】不動産会社が売却活動を行う
不動産会社と媒介契約を締結したら、いよいよ土地の売却活動のスタートです。
土地売却のため、不動産会社が販売活動をする
土地売却のため、不動産会社が販売活動を行います。販売活動の内容は、主に以下の4つです。
- 指定流通機構(※レインズ)へ登録
- 宣伝・広告作成
- 広告活動
- 購入希望者の見学準備・実施
※レインズとは
国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営している不動産流通機構標準情報システムのことです。レインズに情報が登録されることによって、全国の不動産会社に土地情報が共有されるため、早期の売却成立につながります。
この販売活動にどれだけ注力してもらえるかが、土地売却の結果を左右します。そのため、不動産会社選びの段階で、販売活動の方針や具体的な内容をしっかりチェックする必要があります。
土地の購入希望者と交渉をする
不動産会社の販売活動により、土地の購入希望者が見つかれば、売買契約に向けて交渉がスタートします。土地購入希望者から多い要望には、以下のような内容が挙げられます。
- 値下げ交渉
- 引き渡し日程の調整
- 古家の解体費用を売主と買主どちらかが負担するかについて
- 確定測量図の確認
不動産会社は、これらの要望に対して売主の意見を聞きながら、交渉をまとめていきます。
なお交渉は、購入希望者が「買付申込書」という書面で不動産会社に差し入れます。買付申込書を確認した不動産会社が売主に提示し、売却価格や引渡し時期、支払い方法など、売買契約に関するさまざまな条件の交渉や調整を行う形です。
値下げ交渉の場合は、納得のいく金額でなければ、交渉を受け入れる必要はありませんが、値下げに応じないことで売れ残ってしまう可能性も考えられます。そのため、土地の適正価格を見極めたうえで、交渉に応じるかどうかを慎重に判断しましょう。すべての条件がまとまったら、売買契約へと進みます。
【STEP4】買主が決まったら、売買契約を結ぶ
買主が決まったら、売買契約を結びます。この際、売主・買主が合意した内容をもとに、「売買契約書」を不動産会社が作成します。重要事項説明書には、売買代金の支払い方法や期間、契約を解除する際の規定などを記載します。
契約日の日程を調整する
売買契約は、売主と買主、そして第三者である双方の不動産会社が、直接対面して行います。そのため、まずは契約日の日程調整を不動産会社が行います。売買契約をする場所として使われることが多いのは、「不動産会社のオフィス」「売主もしくは買主の自宅」「ホテルのラウンジ」などです。
【STEP5】決済・引き渡し
5つ目のSTEPは、決済・引き渡しです。それぞれ詳しく解説します。
所有権移転登記を司法書士へ依頼する
所有権移転登記とは、土地の所有権が売主から買主へ移ったことを明確にするために行う登記です。土地の売買が成立すると、土地の所有者が変わるため、法務局で所有権移転登記をする必要があります。
所有権移転登記を司法書士に依頼した場合の費用は、売買の場合は30,000~90,000円程度、相続の場合は40,000~100,000円程度が相場となっています。
買主から手付金を除いた残金を受領する
売買契約書で取り決めた日に、土地の引き渡しを行います。 引き渡しでは、売主は買主から手付金を除いた残金を受け取ります。土地の所有権は、残金を受領した時点で初めて買主へ移転します。
つまり、売買契約を締結した時点では所有権はまだ売主にあり、引き渡しを行うことで、ようやく所有権は買主へ移転するということです。
不動産会社と司法書士へ報酬を支払う
決済・引き渡しが完了したら、不動産会社と司法書士へ報酬を支払います。一般的に、不動産会社への仲介手数料は、売買契約時に50%、決済時に残りの50%を支払うことが多いものです。しかし、不動産会社によっても仲介手数料の支払いタイミングは異なるため、事前に確認しておきましょう。
【STEP6】確定申告・納税を行う
最後のステップでは、確定申告・納税を行います。確定申告が必要にも関わらず、忘れた場合は、ペナルティとして納税期限を過ぎた日数分の延滞税が課されます。後悔しないためにも、ここで確定申告・納税の要点をおさらいしておきましょう。
売却益が発生した場合は、翌年に確定申告を行う
土地を売却して売却益が発生した場合は、確定申告をして納税します。このとき、課税対象となる利益のことを、「譲渡所得」と言います。
譲渡所得は、不動産売却価格から取得費(土地を購入するためにかかったお金)と、譲渡費用(土地を売るためにかかったお金)を引いて算出します。
譲渡所得=土地の売却金額−(取得費+譲渡費用)
確定申告は、土地を売却した翌年の2月16日〜3月15日が申告期間となります。確定申告を忘れてしまうと、脱税行為とみなされてペナルティが発生してしまうため、必ず申告するようにしましょう。
なお、年の途中で土地を売買する場合は、決済日以降の固定資産税は買主に負担してもらえるケースがほとんどです。固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者に対して、1年分の税金が課税されています。そのため通常は、引き渡しまでは売主負担、引き渡し移行は買主負担として決済日に日割り精算します。
また、一定の要件を満たすと、確定申告時に「3,000万円特別控除」と呼ばれる節税の特例を使うことも可能です。3,000万円特別控除の要件は、以下の通りです。
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 売った年の前年および前々年にこの特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
- 売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
- 売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
- 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
確定申告を行う際は、仲介手数料や解体費用、測量費をはじめ、土地売却にかかった費用を経費として計上できます。そのため、領収書は無くさず取っておくようにしてください。
【相続した土地の場合】土地売却の流れ
相続した土地を売却する場合は、通常の土地売却の流れに加えて、相続関連の手続きを行う必要があります。相続した土地売却の流れは、以下の通りです。
- 遺産分割協議書を作成する
- 相続した不動産の名義変更を行う
- 相続した土地を売却をする
- 相続が2人以上の場合は現金をで分割する
【STEP1】遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議書とは、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類のことです。遺産分割協議書には、
- 被相続人の住所、死亡日、氏名
- 相続人全員の住所、氏名、押印(実印)
- 分割する相続財産の具体的な内容
- 相続人全員が分割方法や分割割合について合意している旨の内容
などを記載します。なお、遺産分割協議には原則として相続人全員の参加が必要となります。
【STEP2】相続した不動産の名義変更を行う
相続した土地を売却するには、「相続登記」をする必要があります。相続登記とは、土地の所有者の名義を被相続人から相続人に変更することです。相続登記の手続きは、土地の所在地を管轄する法務局で行います。相続登記に必要な書類は、以下の通りです。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の除附票
- 法定相続人の戸籍謄本
- 法定相続人の住民票または戸籍の附票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
- 相続する不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
- 法定相続人の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
【STEP3】相続した土地の売却をする
相続登記が完了したら、不動産会社と媒介契約を締結し、土地売却を開始します。買主が決定したら売買契約を結び、代金を受け取ります。
【STEP4】相続が2人以上の場合は代金を分割する
複数の相続人がいる場合は、STEP1の遺産分割協議書の内容に沿って、売却代金を分割します。また、相続した土地には税金が発生しますが、この税金も相続人全員が支払います。
【古家付き土地の場合】土地売却の流れ
古い建物が残ったままの土地を売却したいという方もいるでしょう。その場合は、「古家付きの土地」として売却が可能です。古家付きの土地の売却の流れは、以下の通りです。
- 古家付きのままか更地にして売却するか検討する
- 不動産会社に相談をする
【STEP1】古家付きのままか更地にして売却するか検討する
古家付きの土地の場合、古家付きのまま売却するか、それとも、更地にして売却するかを検討することから始めます。
古家付きのまま売却 | 更地にして売却 | |
メリット | ・解体費用がかからない
・固定資産税が減税される ・建物の資産価値を失うおそれがない |
・売却しやすくなる
・物件の瑕疵を事前に発見しやすい |
デメリット | ・買い手が付きづらくなる
・解体費用分の値引きを要求される可能性がある |
・建物の資産価値を失う
・解体までに時間やコストがかかる |
更地にして売却する最大のメリットは、売却しやすくなる点です。古家付きのまま売却をしようとすると、買主に解体費用の負担が発生するだけではなく、費用の見積もりや工事業者の選定などさまざまな手続きが必要になります。一方で、更地であれば、すでに古家が解体されているため、買主が自由に土地を活用できます。
また、更地になっていると、土地のみを購入したい買主も検討しやすくなります。店舗や倉庫の建築を検討している事業主や、不動産投資を目的として土地を購入したい投資家なども前向きに検討できるでしょう。
反対に、古家付きのまま売却するメリットは、解体費用がかからないことにあります。また、固定資産税が減税されるため、売却までの税負担が重くならずに済みます。ただし、解体を買主が行う代わりに解体費用分の値引きを要求される可能性があるため、注意が必要です。
【STEP2】不動産会社に相談をする
更地にするかどうかの判断を素人が適切に行うことは、非常に難しいものです。そのため、不動産会社に相談をして、更地にして売った方が良いのかどうかを判断してもらいましょう。更地にするにしても、古家付きとして売却するにしても、良いアドバイスをくれるはずです。
土地売却にかかる費用と税金の一覧表
土地を売却するには、さまざまな費用と税金がかかります。事前にどれくらいの費用と税金が必要になるのかを把握しておくことが重要なので、以下の表を参考にイメージしておきましょう。
費用名 | 概要 | 金額 | 支払い時期 | |
一般費用 | 仲介手数料 | 不動産会社へ支払う仲介手数料 | 売却額×3%+6万円 | 売買契約時 |
抵当権抹消費用 | 土地に抵当権が付いている場合 | 1件あたり1,000円(司法書士に依頼する場合は、10,000円) | 土地の抵当権を清算するとき | |
測量費用 | 土地間の境界が不明で、測量が必要な場合 | 350,000〜450,000円ほど | 測量依頼時 | |
税金 | 印紙税 | 売買契約書に添付が必要 | 2,000円〜100,000円 | 売買契約時 |
登録免許税 | 土地所有権を移行するために必要 | 売却価格の1.5% | 所有権移転登記を行うとき | |
譲渡所得税 | 土地の売却により、利益が出た場合 | ・所得期間が5年以下の場合:30%
・所得期間が5年超の場合:15% |
売却した翌年の3月15日まで | |
住民税 | 土地の売却により、利益が出た場合 | ・所得期間が5年以下の場合:9%
・所得期間が5年超の場合:5% |
確定申告後の5月以降 |
土地売却に必要な書類リスト
土地売却に必要な書類は、以下の通りです。
- 権利証もしくは登記識別情報通知書
- 印鑑証明書
- 住民票
- 固定資産評価証明書
- 本人確認書類
- 抵当権の抹消に必要な書類
- 固定資産税および都市計画税の納税通知書の写し
- 確定測量図
- 筆界確認書・越境の覚書
土地売却を成功させるコツは、優秀な不動産会社探しから!
今回は、土地売却の流れについてお伝えしました。土地を売却するには、さまざまな準備が必要ですが、土地売却を成功させるコツは、優秀な不動産会社探しからと言っても過言ではありません。
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