不動産コラム 2023.5.23
ゴミ屋敷を売却する方法4選!相場と注意点も解説
目次
「ゴミ屋敷を処分したいけれど、片付けるのが大変で放置してしまっている…」
このように、ゴミ屋敷を処分したくてもなかなか手が付けられずに困っている方は、珍しくありません。
ゴミを処分するのが大変だからといってゴミ屋敷を放置していると、多額の税金が発生するだけではなく、行政代執行の対象になる可能性があります。そのため、ゴミ屋敷を所有している場合は、なるべく早く処分や売却を検討することをおすすめします。
当記事では、ゴミ屋敷の売却方法や売却にかかる費用の相場、ゴミ屋敷を売却する際に覚えておきたい注意点について解説しています。ゴミ屋敷の処分に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- ゴミ屋敷を売却する方法は、主に「ゴミを処分してから売却する」「ゴミを処分&リフォームしてから売却する」「ゴミが残っている状態で売却する」「ゴミ屋敷を更地にして売却する」の4つ
- ゴミ処理後の売却のメリットは、「ゴミ屋敷を再利用できる」「相場に近い価格で売却できる」で、デメリットは、「ゴミ処分の手間やコストがかかる」「ゴミの量によっては費用が高額になる」など。一方、ゴミ処理をしない場合のメリットは、「買取が成立すれば早く確実にゴミ屋敷を処分できる」「自分でゴミを片付ける必要がない」で、デメリットは、「需要がないため、通常の不動産仲介での売却は難しい」「安い価格での売却になる可能性が高い」など
- ゴミ屋敷の売却にかかる費用の内訳には、「ゴミを処分する費用」「消臭作業の費用」「解体費用」「登記費用」「印紙税」などがある
- ゴミ屋敷を売却する際の注意点は、「所有しているだけで税金が発生する」「行政代執行の対象になる」「ゴミ屋敷には管理責任が付いてくる」の3つ
- ゴミ屋敷の売却が完了するまでには費用と時間がかかるため、なるべく早めに売却に向けて動き出すことが重要
ゴミ屋敷の定義とは
結論からお話しすると、ゴミ屋敷には明確な定義は存在しません。しかし一般的には、「家中にゴミが散乱していて、生活できる空間がほとんどない」あるいは「管理されてない状態の住居」をゴミ屋敷と呼んでいます。
ゴミ屋敷の状態になっている住居は、人が生活するには適さない環境になっていて、ゴミによって天井まで空間が埋もれているケースも少なくありません。
ゴミ屋敷を売却する4つの方法
ゴミ屋敷を売却する方法は、主に「ゴミを処分してから売却する」「ゴミを処分&リフォームしてから売却する」「ゴミが残っている状態で売却する」「ゴミ屋敷を更地にして売却する」の4つです。順番に見ていきましょう。
売却の方法1:ゴミを処分してから売却する
はじめに挙げられるのが、ゴミを処分してから売却する方法です。ゴミ処理を行い、通常の物件として売却することで、不動産仲介と不動産買取のどちらの方法も選択できます。
ただし、あまりにもゴミや不用品の量が多く、自分でゴミの処理ができない場合は、専門業者にゴミの処分を依頼する必要があります。専門業者にゴミ処理を依頼した場合にかかる費用は、ワンルームの部屋であればおよそ3万円、1DKの部屋であればおよそ6万円、2LDKの部屋であればおよそ9万円となっています。
売却の方法2:ゴミを処分&リフォームしてから売却する
ゴミを処分&リフォームしてから売却する方法もあります。ゴミ屋敷をリフォームして、再び人が住める状態にすることで、賃貸物件として貸し出すことが可能です。立地によっては十分な家賃収入を得られるため、ゴミ屋敷が都心部にある場合は、ぜひとも検討したい方法と言えるでしょう。
ただし、リフォームを行う際は、当然のことながら多額の費用が発生します。さらに、リフォーム後に売却してかかった費用を回収できるかは、立地やリフォームの内容によって変わります。そのため、採算が取れるかどうかを十分に検討したうえで、リフォームを実施するか判断することがポイントです。
売却の方法3:ゴミが残っている状態で売却する
ゴミ屋敷を売却する方法のなかで最も売却側の手間を軽減できるのが、ゴミが残っている状態で売却する方法です。ゴミが残っている状態で売却をすることで、ゴミの処分にかかるコストや手間を省略できます。
ただしこの方法は、不動産仲介業者を利用しても購入希望者を見つけることが困難です。そのため、なるべく早くに売却したい場合にはおすすめできません。
売却の方法4:ゴミ屋敷を更地にして売却する
ゴミ屋敷を解体して、更地にしてから売却する方法もあります。物件が古くて人が住める状態でない場合や、物件の資産価値がほとんどない場合は、更地として売り出した方が売れやすくなります。なぜなら、その方が買い手にとっては物件を取り壊す手間がかからないないためです。
また、更地すれば、その土地の相場通りの金額で売ることが可能です。そのため、戸建て住宅の場合は、この方法が手元に残る金額が最も高くなります。
ゴミ屋敷のゴミ処理後の売却とゴミ処理をしない場合のメリットとデメリット
ゴミ屋敷の売却は、「ゴミ処理後に売却する方法」と「ゴミ処理をしないで売却する方法」の2つに大きく分けられます。以下では、それぞれのメリット・デメリットを一覧表にまとめましたので、どちらの売却方法が適しているかを見極める際の参考にしてください。
ゴミ処理後の売却の場合のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
・ゴミ屋敷を再利用できる
・相場に近い価格で売却できる |
・ゴミ処分の手間やコストがかかる
・ゴミの量によっては費用が高額になる |
ゴミ処理をしない場合のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
・買取が成立すれば早く確実に処分できる
・自分でゴミを片付ける必要がない |
・需要がないため、通常の不動産仲介での売却は難しい
・安い価格での売却になる可能性が高い |
ゴミ屋敷の売却にかかる費用
ゴミ屋敷を売却する際には、具体的にどのような費用が発生するのでしょうか。下記では、ゴミ屋敷の売却にかかる費用の内訳について紹介します。
ゴミを処分する費用
ゴミの処分にかかる費用は、およそ30万円〜100万円です。ただし、実際にかかる費用はゴミの量にもよるため、一概には言えません。目安としてはこのぐらいの金額となっています。
ゴミの処分費用を用意できない場合は、ゴミごと全て買い取ってくれる不動産会社に相談するのもひとつの手です。このような業者を利用すれば、家の買取金額から、ゴミの処分費用を引いた金額を受け取れるため、事前にまとまったお金を用意せずに済みます。
消臭作業の費用
ゴミ屋敷では、異臭が発生していることが珍しくありません。異臭がする状態では、当然買い手がつかないため、消臭する必要があります。清掃業者によっては、追加費用を支払うことで、オゾン消臭などの特別な消臭作業を実施してくれます。
オゾン消臭とは、生ゴミやタバコなどの強烈な臭いでも、短時間で無臭に近い状態にできる画期的な消臭方法です。
オゾン消臭の費用は、部屋の広さや臭いの強さなどによって変動します。部屋の広さが30㎥未満の場合や軽度の臭いの場合は、数千円程度で済みますが、強烈な臭いの場合は、数万円〜数十万円の費用がかかることも考えられます。依頼前には、消臭作業を行えるかどうかに加えて、費用についても相談すると良いでしょう。
解体費用
家の解体にかかる費用は、1坪あたり3~5万円が相場と言われています。これは主に坪数によって決まりますが、他にも構造や立地、付帯工事費用、解体業者などにも影響されます。坪数別・構造別の費用の目安は、以下の通りです。
20坪 | 30坪 | 40坪 | |
---|---|---|---|
木造 | 70~90万円 | 110~140万円 | 150~1900万円 |
軽量鉄骨造 | 110~120万円 | 170~200万円 | 230~250万円 |
重量鉄骨造 | 120~130万円 | 180~200万円 | 250~270万円 |
鉄筋コンクリート | 110~150万円 | 170~230万円 | 230~310万円 |
上記の表から分かる通り、木造などの柔らかい素材でできた建物は壊しやすく、作業効率が良いため、費用が安い傾向にあります。一方で、鉄筋コンクリートなどの壊れにくい素材でできた住宅は、解体費用が高くなります。
また、解体費用には整地や廃材の処理なども含まれるため、それらの作業が困難な場合はその分費用も高額になります。具体的には、木くずは1㎥あたり10,000円ほどで処理できるのに対し、コンクリート片は1㎥あたり25,000円ほどかかるなど、廃材の処理にも費用差があるのです。
ゴミ屋敷の所有者を変更する届けを出すための登記費用
ゴミ屋敷の売買契約を締結した後は、物件の所有者を変更する届けを提出するために、登記費用を支払う必要があります。 登記費用は、取り扱う物件や依頼する司法書士によって金額が異なりますが、およそ1~5万円が相場です。
ゴミ屋敷を売却する契約書に貼る印紙税
ゴミ屋敷の売買契約が決定すると、不動産の売買契約書に印紙を貼り付けます。印紙税は、物件の価格によって変わります。具体的には、不動産の売却額が50万円以下の場合は200~400円、1億円の場合は3~6万円となっています。
件の金額 | 印紙税 | 印紙税(軽減) |
10万円超~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
ゴミ屋敷を売却する際の注意点
ここまで、ゴミ屋敷を売却する方法やゴミ屋敷の売却にかかる費用の相場について見てきました。それでは、ゴミ屋敷を実際に売却する際は、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。ここからは、ゴミ屋敷を売却する際の注意点について説明します。
所有しているだけで税金が発生する
ゴミ屋敷かどうかに関わらず、所有している不動産には、原則として固定資産税が毎年発生します。
不動産の固定資産税は、物件の評価額の70%です。つまり、その土地の評価額が1,000万円の場合は、700万円の固定資産税が発生するということです。無駄な税負担を無くすためにも、できるだけ早くゴミ屋敷は売却してしまうべきと言えるでしょう。
行政代執行の対象になる
役所からの命令に従わずにゴミ屋敷を放置し続けている場合には、「ごみ屋敷条例」に基づく行政代執行によって、強制的に家が撤去されます。この際、撤去にかかった費用は、相場よりも高い金額で所有者に請求されてしまいます。
他にも、ゴミ屋敷に関して特別な条例を設けている自治体もあります。例えば、「悪臭や害虫が発生している」「火災や不法投棄のリスクがある」「近隣の不動産価値を下げている」などトラブルが起こるリスクが高いと判断されると、強制的にゴミの処分が行われます。
ゴミ屋敷には管理責任が付いてくる
遺産の相続時には、借金などの負の遺産があった場合に相続を放棄することがあります。ゴミ屋敷の所有権も相続放棄することはできますが、たとえ相続を放棄したとしても、民法上ではゴミ屋敷の管理責任は相続人に課せられることとなっています。
そのため、ゴミ屋敷が原因で火災が発生したなどのトラブルがあった場合や近隣住民が怪我を負った場合には、損害賠償を求められてしまいます。
ゴミ屋敷を売却する際によくある質問
最後に、ゴミ屋敷を売却する際によくある質問について回答します。
Q.ゴミ屋敷のまま売却することは可能?
A.そのまま売却することは可能です。ただし、ゴミがある状態では買い手に内覧してもらいづらいため、ゴミがない場合と比較して格段に売りづらくなります。建物は解体して土地として売る予定であれば、概ね問題ないでしょう。
Q.ゴミを処分してから売りに出すのと、ゴミはそのまま売却、どちらが良い?
A.手間やコストをかけずに、なるべく早く売却したい場合は、不動産買取業者に依頼するのが先決です。不動産買取では物件を不動産会社が買い取るため、素早く確実にゴミ屋敷を売却できます。
Q.マンションの場合はどうしたらいい?
A.ゴミ屋敷のままでマンションを売却することはできません。そのため、ゴミの処分後リフォームして売却する必要があります。
Q.戸建ての場合はどうしたらいい?
A.戸建ての場合は、ゴミを処分した後に、更地にするのがベストな選択肢です。
まとめ:ゴミ屋敷の売却には費用と時間がかかる
今回は、ゴミ屋敷の売却方法や売却にかかる費用の相場、ゴミ屋敷を売却する際の注意点
についてお伝えしました。
相続などによって、予期せぬ形でゴミ屋敷を取得することも少なくありません。
「ゴミの処分をするのは面倒なので、しばらく放置しておこう…」と考えている人もいるかもしれませんが、ゴミ屋敷を放置した場合には、行政代執行の対象になるリスクがあります。
また、人が誰も住んでいなくとも、毎年ゴミ屋敷の所有者には、固定資産税が請求されるため、速やかに処分することをおすすめします。
ただしゴミ屋敷の売却は、一般的な不動産の売却とは流れが異なる部分もあります。例えば、「ゴミを処理してから売却するのか」「建物の解体やリフォームはどうするのか」など、さまざまな問題を解決していかなければいけません。
株式会社リデアなら、こうしたゴミ屋敷に関するお悩み相談を承りながら、理想の不動産売却を実現することが可能です。不動産売却に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
この記事を書いた人
私は株式会社リデアの宅地建物取引士、磯部と申します。
生まれ育った港区、中川区や馴染みの深い弥富、蟹江、あまエリアで不動産サービスをご提供することを通じて、ご縁をいただいたお客様に豊かな人生をおくっていただきたい。
その思いで株式会社リデアを創業し、これまで年間平均143件の不動産の取引に関わらせていただきました。
不動産業に関わるということは言い換えればお客様の大切な未来を預からせていただくということだと考えています。
お客様に安心・信頼していただけるベストなご提案を通じて、未来の生活をより豊かにお過ごしいただくために誠心誠意サポートさせていただきます。
まずは、どのようなことでもお気軽にご相談ください。