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更地渡しとは?売却時の注意点も徹底解説!

建物付きの土地を売却しようとするときに、更地にした状態にした方がいいのか、建物が建ったままでも良いのか、迷う人は多いものです。更地渡しのメリットを最大限に活かすためには、更地渡しの仕組みや流れについてしっかりと理解しておくことが必要です。

この記事では、更地渡しの概要や流れ・売却時に注意すべきポイントなど、更地渡しについて詳しく解説します。

 

この記事のポイント

  • 更地渡しとは、古家付き土地で売却契約を締結した後、建物を解体する取引
  • 更地渡しにより土地が売却しやすくなり、節税にもつながる
  • 更地渡しはトラブルになることもあり、契約書の内容に注意が必要
  • 建物が老朽化している・事故物件であるなどの場合は、更地渡しがおすすめ
  • 更地渡しのトラブル回避には、契約内容の確認や近隣住民への配慮が大切

 

更地渡しって何?

更地渡しとは、土地に建物が建っている状態(古家付き土地)で売却手続きを行い、売買契約の締結後に建物を解体し、更地にして引き渡す取引を指します。

更地渡しと比較して検討される売却方法に、現況渡し(現状有姿渡し)があります。現況渡しは、古家を解体せずに売買契約を締結し、買い主負担で解体を行う方法です。

 

更地渡しの流れ

更地渡しの手続きは、どのような流れで進めていくのでしょうか。正しい手順で手続きを行うために、一般的な流れを見ていきましょう。

更地渡しの流れ①売買契約

更地渡しを希望するのであれば、売り出す時点で取り決め内容を明確にしておかなくてはいけません。詳しくは後述しますが、更地渡しに関する取り決めを、必ず売買契約書に記載することが必要です

更地渡しの流れ②解体工事

古家の解体工事は、売買契約を締結し、買い主の住宅ローン融資が正式におりてから着手します。解体工事そのものは業者が行うため、工事が始まってからは売主が行うことは特にありません。

ただし、工事の着工前には、業者とともに近隣住民の方へ挨拶に伺うようにしましょう。

更地渡しの流れ③引き渡し

解体工事が終了したのち、買い主から代金を受け取り、引き渡しを行います。このときに受け取る代金は、買い主が既に支払っている手付金などを差し引いた残額となります。

引き渡し後、売主は建物滅失登記を行わなくてはいけません。この登記を行わないと、買い主が購入した土地に建物を新設できないためです。不動産登記法第57条により、滅失登記手続は解体後1か月以内に法務局への申請が定められています。1か月以上経過してしまうと、過料が科せられる可能性があります。

滅失登記は、売主自身が申請する方法と、司法書士事務所などの専門家に依頼する方法とがあります。どちらの方法を選択する場合も、1か月の期限は必ず守りましょう。

 

古家付き土地を更地渡しで売却するメリット

古家付き土地の売却方法として、更地渡しを選択することで、売主にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを3つ紹介します。

売却しやすくなる

更地渡しの最も大きなメリットは、売却しやすくなる点です。現況渡しをしようとすると、買い主に解体費用の負担がかかるだけではなく、費用の見積もりや工事業者の選定などさまざまな手続きが必要です。更地渡しであれば、すでに建物が解体されているため、買い主が自由に土地を活用できます。

また、更地になっていると、土地のみを購入したい買い主も検討しやすくなります。不動産投資を目的として土地を購入したい投資家や、店舗や倉庫の建築を検討している事業主なども前向きに検討できるでしょう。

買い主が決まってから解体工事に着手できる

更地渡しの考えが生まれたのは、売主の負担を減らすことが目的でした。古家付き土地の買い主が決まる前に解体工事をすると、数十万円かかる解体費用を売主が先払いする必要があります。

土地が売れるまで数年かかるケースも珍しくなく、売主が費用を払ったものの土地がいつ売れるか分からない心理的負担をなくすために、更地渡しの方式が始まったのです。

さらに、更地渡しにすることで建物がなくなるため、建物に対する契約不適合責任を問われる心配もなくなります。契約不適合責任とは、以前瑕疵担保責任と呼ばれていた制度であり、物件購入後建物の欠陥や不具合を見つけた場合に、売主に損害賠償請求や解約申し出などができるものです。

解体工事の費用で節税できる

解体工事にかかった費用は、土地の売却経費に計上できるため、結果として節税が可能です。売却後に売主が支払う税金(譲渡所得税)は、売却価格から解体工事費用などを差し引いた譲渡所得に税率をかけて計算します。

つまり、工事費用を差し引いて譲渡所得の金額を抑えられれば、税金も安くなるのです。工事費用の負担はかかるものの、節税につなげられるのは更地渡しのメリットです。

 

古家付き土地を更地渡しで手放すデメリット

更地渡しはメリットがある反面、デメリットも理解しておかなくてはなりません。主なデメリットを3つ紹介します。

建物の資産価値を失う

更地渡しはその名の通り、建物を解体して更地にしてから買い主に渡します。建物がなくなることで、建物の資産価値も失ってしまいます。

それだけではなく、建物を解体して更地になると、土地の固定資産税が高くなるのです。住宅用地の軽減措置特例が適用できなくなり、土地の固定資産税が最大6倍に上がってしまうため、注意が必要です。

トラブルになりやすい

更地渡しには法的な定義がなく、統一する基準もありません。詳細な契約内容は売主と買い主の間で取り決めを行わないといけません。解体工事を負担する割合や工事範囲などをしっかり取り決めておかないと、トラブルの原因になることがあります。

塀の部分を売主が撤去していなかった、工事後にゴミが残っていたなど、トラブルになりうる内容は多岐にわたります。トラブルが起こるリスクを少しでも軽減できるよう、契約内容をきちんと話し合っておきましょう。

契約書の内容によっては工事がムダになる

買い主がローン審査に通らないと、土地の売買契約そのものが解除され、売却手続きができなくなります。売買契約を締結した後にすぐ解体工事に入ってしまうと、ローン審査に通らなかった場合、解体費用はかかっても売却ができません。

この状況を回避するために、契約書に記載する契約条件を明確にし、必要があればローン特約の設定なども行っておきましょう。ローン特約とは、ローン審査に通らなかった場合に売買契約が白紙となる特約です。

 

更地渡しがおすすめなケース

更地渡しか現況渡しかどちらを選択したら良いのかは、建物の状況によって判断が必要です。以下のケースでは、更地渡しをおすすめします。

建物が老朽化している

住むのが難しいほど建物が老朽化していると、中古住宅としてのニーズが満たせなくなります。買い主に対する印象も悪くなり、購入意欲も下がってしまうでしょう。

空き家を放置したままでは、空き家対策特別措置法により指導や勧告を受ける場合もあります。倒壊などの危険性も高まるため、更地渡しを選択しましょう。

建物がアリクイ被害に遭っている

アリクリやシロアリなどの被害に遭った建物は、耐震性や強度に問題がないように見えても、強度が十分確保できない可能性があります。地震や台風などの災害が発生すると倒壊するリスクがあるため、建物を解体して更地渡しにした方が安全です。

事故物件

事故物件とは、自殺・殺人など、何らかの事故や事件により人が亡くなった物件です。なお、国土交通省のガイドラインでは、病気や老衰・不慮の事故などで亡くなった場合は、事故物件には含まれないとされています。

事故物件は、売主・買い主双方に心理的瑕疵が発生し、更地にした後でも売主は買い主に対して心理的瑕疵を告知する義務があります。ただ、売却価格は下がるため、買い主の土地の活用目的(駐車場・コインパーキングなど)によっては売れやすくなることも考えられます。

 

更地渡しでトラブルにならないためのポイント

更地渡しは、トラブルが発生することも多い取引方法ですが、事前に対策を取っておけばトラブル回避の可能性が高まります。トラブルにならないためのポイントを7つ紹介します。

契約内容を確認する

更地渡しの売買契約を締結するときに、契約内容を記載した売買契約書を作成し、内容をしっかりと確認することが必要です。売買契約書には、以下の3点が追加されます。

  • 建物の解体は売主の責任と負担のもとで行う
  • 解体する建物に対する滅失登記の取り決め
  • 土地の契約不適合責任

融資承認を確認してから着工する

買い主が、金融機関から住宅ローンの融資を受けられると確認したのち着工しないと、売買契約が成立しなくなります。この結果、解体費用だけが売主の負担となるうえ、売却機会を逃してしまう可能性もあります。

この事態を防ぐために、融資承認を受けたと確認してから着工しましょう。また、契約時にローン特約の解除期限を設定することも大切です。設定により、買い主は金融機関から融資承認を受けられたかを売主に示す必要があります。

引き渡し遅れに注意する

更地渡しに必要な解体工事において、近隣から振動や騒音などのクレームを受けると、トラブルに発展し解体工事のスケジュール遅延が予想されます。最悪の場合、工事そのものが中断し、引き渡し日まで買い主へ引き渡せなくなる事態もあるほどです。

契約内容次第ではありますが、引き渡し日に間に合わないと、債務不履行による損害賠償請求もしくは契約解除などの法的トラブルに発展しかねません。この事態を避け、引き渡し遅れが発生しないよう、工事会社と綿密な打ち合わせが必要です。

固定資産税の精算タイミングに注意する

固定資産税は、1月1日時点で不動産を所有している人に対して課税されます。解体工事と建物滅失登記が年内に完了すると、翌年の固定資産税は大幅に増額されます。

解体日や引き渡し日が年末年始に近い、もしくは年をまたぐ場合は、固定資産税についても確認しておくことが大切です。

地中埋没物に注意する

解体工事中に地中埋没物が見つかった場合は、追加費用がかかります。埋め戻しによる地中埋没物が残っている場合があるほか、建築資材・基礎部分・古い井戸・浄化槽・木の根・岩なども地中埋没物の一例です。

古い土地では、地歴調査を行っておくと、買い手がつきやすくなります。

近隣住民への配慮を忘れない

「引き渡し遅れに注意する」の項とも重複しますが、解体工事では近隣住民の方へ少なからずご迷惑がかかります。工事をスケジュール通りに進めるには、工事開始前に業者と一緒に挨拶回りを行うほか、工事中も振動や騒音などに配慮してもらうよう業者に依頼しましょう。

解体内容はしっかり書面化する

解体工事におけるトラブルを避けるためには、更地渡しに必要な解体工事の内容をしっかりと書面化することが大切です。売主と買い主の当事者間で、取引内容の認識に食い違いが起こらないよう、引き渡し前に売主が行う作業を明確に書面化しておきましょう。

解体・撤去の範囲や、解体工事を始めるタイミング、土地の整地まで行うかなど、細かい部分まで話をすり合わせておきましょう。

 

まとめ

更地渡しのご相談は、建物の解体工事を自社で施工可能なリデアへお任せください。名古屋市港区にあるリデアでは、お客様が保有されている大切な資産を有効活用するため、専門家と協力しながらサポート体制を整えております。

「不動産を相続したが、更地渡しによる売却を検討している」「更地渡しによる売却にかかる費用が知りたい」など、更地渡しに関するご相談がございましたら、まずはお気軽にご連絡ください。

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